
メキシコ料理ときいて思い浮かぶものは何ですか? タコス? ナチョス? ブリトー?
実はこれら、正確にはメキシコ料理とはいえないそうなんです。では何と呼ぶかというと、TEX-MEX。メキシコ料理の影響を受けたアメリカ料理。そういうものがあるそうです。
前回はアメリカのラテンアメリカ系移民のお話をしましたが、今回は彼らがアメリカにもたらした食について、書いてみようと思います。
前回の記事
目次
TEX-MEXとは? その背景と広がり
ウィキペディアを引いてみましょう。
テクス・メクス料理(英語: Tex-Mex cuisine)とは、一般的にはメキシコ風のアメリカ料理を表す際に使われる言葉である。また、メキシコ料理と近縁の、テキサス州独自の料理でもある。テックス・メックス料理とも表記される。
テキサスがかつてメキシコ領だったことは前回の記事でお話しました。もともとメキシコ系の人が多かったこともあり、ここではメキシコ風の料理がよく食べられていたようです。
これに加えて20世紀以降の人の行き来もあって、ラテンアメリカの食文化に強く影響されたアメリカ料理が作られるようになった、ということのようです。
TEX-MEXの代表的な料理・簡単レシピも
TEX-MEXの写真を使います。次に使用するメキシコ料理の写真との違いをお楽しみください。
ハードシェルタコス

タコスはメキシコでも食べられますが、TEX-MEXとの大きな違いはトルティーヤ。TEX-MEXでは小麦粉の生地をカリっと揚げたハードシェルタイプが人気です。
ハードシェルタイプのトルティーヤはスーパーなどでも売っていますので、そちらを買って、お好きな具材を乗せればOK。ひき肉を使う場合はタコシーズニングという調味料を使うと簡単です。
このタコシーズニング、何にでも応用が利くので、TEX-MEX料理を楽しみたい方にはぜひおすすめ。
ナチョス

最近では映画鑑賞やスポーツ観戦時のおともとしてもおなじみの一品ではないでしょうか。
作り方はとっても簡単。お皿に置いたトルティーヤチップスに、チリペッパーなどで味付けをしたひき肉とトマト、アボカド、レタスなどを乗せれば出来上がり。チーズを加えてレンチンか、オーブンで軽く焼いてもおいしく仕上がります。
チリコンカン

スペイン語でチリ(チリペッパー)コン(一緒に)カルネ(お肉)の意。19世紀頃から、テキサスではよく食べられていた料理だそうです。
メキシコ発祥とされることもあるようですが、「当時の」ということでしょうか。現在のメキシコではあまり作られることもないようですから、やはりこれはメキシコ系アメリカ料理、TEX-MEXといっていいのでしょう。
私もときどき作るのですが、けっこう簡単で、玉ねぎとひき肉を炒めて豆と(私は大豆の水煮を使います)トマト缶を入れ、チリパウダーや塩コショウで味付けをして出来上がり。
念のために栗原はるみさんのレシピを貼っておきます。こちらではキドニービーンズを使っておられます。
ブリトー

ブリトーはもはや、アメリカの国民食といってもいいかも。大きめのトルティーヤで具材を巻いて食べる、手軽な軽食のひとつです。
具材や野菜にお肉、チーズ、お米などいろいろ。大きさもさまざまで、アメリカ国内でも、地域によって独自のスタイルがあるとのこと。
人気のTEX-MEXチェーンのお店chipotle(チポトレ)では、片手では持てないほどの大きなブリトーも食べられるみたい。YouTubeにも動画がたくさん上がっているので、ご興味のある方はぜひ探してみてくださいね。
メキシコ料理とTEX-MEXの違い
トルティーヤ・とうもろこしか小麦粉か

トルティーヤは、わかりやすくいえば「薄焼きパン」。これに具材を乗せればタコスになりますし、巻けばブリトー、揚げればトルティーヤチップスになるとそういう感じです。
TEX-MEXでは小麦粉で作ったフラワートルティーヤが主に使われますが、メキシコではトウモロコシの粉を焼いたものが主流です。タコスの場合はやや小さめで、二枚重ねにして食べることもあります。
蛇足として、個人的な感想をいうと、コーントルティーヤには独特の風味があり、やはりこれがタコス、そんな気がします。その点、フラワートルティーヤはクセがなく食べやすい。そして何より入手がしやすい。これはとてもありがたい、大きなメリットです。
どちらにもそれぞれの魅力がありますので、よかったら食べ比べなどなさってみてくださいね。
味付け・シンプル系とスパイシー系

メキシコ料理の味付けはさっぱり&シンプル。ライムやコリアンダー(パクチー)などの香草を使った、フレッシュなものが多いという印象です。写真はナチョスですが、メキシコ風では具材は乗せず、ディップを合わせて楽しむことがほどんどだそう。
私個人の体験ですが、メキシコで食べたタコスは、想像していたほどチリの味はしなかったように思います。お肉もさっと焼いた程度。
一方でTEX-MEXではしっかり味をつけたものが主流のようです。お肉にもチリで味をつけ、さらにソース、チーズもがっつり。うま味たっぷりで、ボリューミーなのがTEX-MEXの魅力のひとつといえそうです。
チーズ・フレッシュチーズとプロセスチーズ

チーズにも違いが!
メキシコではフレッシュチーズが主流だそうなんです。白くてさっぱりした風味が特徴。塩味もそれほど強くなく、モッツァレラチーズに似ているとも。
対してTEX-MEXでよく使われるのは、保存性の高いプロセスチーズ。しっかりとした、濃いめの味わいです。
料理の見た目も、白いチーズを使うメキシコ料理はあっさりしていて、チーズが黄色いTEX-MEXは華やかでインパクトも大きい。そんなイメージがあります。
TACO TUESDAY! アメリカ国民が愛するTEX-MEX
「タコチューズデー」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。もともとは、とあるTEX-MEX料理店が行った「火曜日にはタコスを食べよう」というキャンペーンの宣伝文句だったようです。
現在ではアメリカ国民にも広く受け入れられ、火曜日にタコスを食べるのは一般化した習慣なのだとか。(恵方巻みたいなものでしょうか?)
日本でも、TEX-MEXチェーンのTaco Bell(タコベル)が、火曜日に特別なクーポンを発行するなど、お得なサービスを行っているようですね。
移民問題で揺れるアメリカですが、メキシコの食文化がもたらした影響はTEX-MEXという料理を生み、多くのアメリカ人に支持され、愛されています。
まとめ
人の、特に異なる文化圏の人たちとの交流が、あつれきを生むことは珍しいことではありません。
私個人の話をすると、私は外国に興味を持つタイプの人間で、しかも大雑把で適当な性格ですが、それでも日本で働く外国の方の生活ぶりに驚いたことは少なからずあります。正直に言うとドン引きというやつです。
しかし、人の行き来がもたらすものはネガティブなものばかりではありません。アメリカのTEX-MEXだけじゃない、私たち日本人も、たらこスパゲッティを楽しみ、アボカドを乗せた寿司を好んでいただきます。
食文化が、お互いをつなぎ、理解し合うきっかけになることもあるのではないか。そんなことを考えたりもします。
