
幼い頃の私にとって、モミの木といえば当然のように、クリスマスツリーのことでした。ですので海外の児童文学で「モミの大木」なる言葉が出てきたときには驚愕です。
大木? 小学生の自分の背丈より低いこれが? そもそもこれプラスチック……。
子供の世界は狭い。その狭い世界で一生懸命ジタバタしながら遠い世界に憧れていた私の、哀愁あふれる思い違いを記事にしました。ま、子供ってそういうもんだから……。
目次
月桂樹、月桂冠

勝者には月桂冠が与えられ、それはどうやら頭にかぶるものらしい。ほかの文章を見てみたところ、それはどうやら植物で作るものみたい。
しかし月桂冠、完全に思い違いをしていましたね。
地域柄でしょうか、小さい頃の私にとって、月桂冠とはコマーシャルでよく見るアレ。アレしか頭になかったのです。京都伏見の酒造メーカーさんの代表的なブランドである日本酒「月桂冠」。
また悪いことに、当時はテレビで野球チームの祝勝会の様子を流しておりましてね。勝者→お酒→頭からかぶる、がとてもナチュラルに理解できてしまったのです。
よくよく考えると挿絵などで、月桂冠をかぶる勝者の様子が描写されてもいたのですが、でもあれもメーカーさんのマークと同じだもんなあ。
大きくなって、月桂冠とは月桂樹の葉で作られた冠であり、月桂樹の葉とはローリエ、普段のお料理に使うものであると知り、少なからず驚いた記憶があります。そんな身近にあったとは知らんかった。
ミモザ、アカシア

春を告げる花、ミモザ。一度この目で見てみたいと思っていました。日本にもある樹木だそうですが、身近で見られるようになったのは最近のことではないでしょうか……などと考えながら検索して、腰を抜かしました。
それを、イギリスで南フランスから輸入されるフサアカシア(マメ科アカシア属)をオジギソウ属の花と間違えて‟mimosa”と呼んだことから、アカシア属の植物をミモザと呼ぶようになったようです。つまり、誤用がそのまま定着して、フサアカシア、ひいては、黄色い花をつけるアカシア属全般をミモザと呼ぶようになりました。アカシア属の花にとっては「ミモザ」はニックネームのようなものですね。
フアッ?!
ミモザはアカシアで、黄色い花が咲くのがフサアカシアでミモザで、白い花が咲くのはニセアカシアというのだと?!
いやあ、アカシアも、名前だけしか知らなかったので勉強になりました。また、黄色いミモザにもいろいろな種類があり、中には南米産のピンクの花が咲くものもあるとか? えっ、黄色だけじゃないって?
まあ、詳しいことは詳しい方にお任せしましょう。とりあえず、ミモザはアカシアで、いろんな種類があるということだけ、今は覚えておけばいい(ことにします)
イラクサ

縁起の悪い草、墓場に生えている植物というイメージがありました。
印象深いのは、魔法で鳥にされた7人の王子様とその妹のお話です。兄たちを人間に戻すため、妹はイラクサでチョッキ(ベストのことです)を編むのですが、夜中イラクサを摘みに行ったために魔女と間違われ、処刑台に送られることに。
すんでのところで現れた7羽の鳥。妹がチョッキを投げると、魔法が解けたお兄さんたちが次々と現れ……。
でもね、最後の一枚が未完成だったために、一人は片方の手が翼のままなんですよ。また、空中でどうやってチョッキを着たのかもずっと不思議で、今でもモヤモヤしたものはあります。
いや、イラクサの話。どうしてそんなに不吉なものと思われたのか、詳しいページがありました。
茎や葉をよく見ると、たくさんの細い針のような毛(刺毛)が見えます。そこには、アリやハチの毒成分である蟻ギ酸などの有機酸などが含まれていて、刺さると皮膚に炎症(接触性皮膚炎)を起こします。「イラ」にはトゲ、辛い、ひりひりするという意味があり、イラクサ(苛草) は、まさに、トゲで刺激を与える植物です。
そんなイラクサですが、おひたしや酢味噌和えにするとおいしいのだとか。いやはや、人間の食に対する好奇心とはすごいものです。
ヤドリギ

西洋ではこのヤドリギを、クリスマスの飾りにすることがあるらしい。本で読む感じでは、縁起のいい植物らしいのですが、幼い頃の私にはどうにも不気味に思えて仕方がありませんでした。
だってヤドリギ、宿り木ですよ。どう考えても寄生するものじゃないですか。では何に? その辺の木とかあるいは生垣とか、まさか生き物にまで寄生したりはするまいな。ほら、気が付くとあなたの後ろにもヤドリギが……。
なんてことを想像していましたが、実際には
ヤドリギ自身は常緑性の低木で、けっして地表に生えることはありません。他の樹木の枝や幹に根を差し込んで水や栄養を横取りする寄生植物で、文字通り「木に宿る木」です。ただし、ヤドリギ自身も葉緑素をもっていて光合成をしています。このように栄養の一部を自力でまかなっている寄生植物を「半寄生植物」と呼びます。
ヤドリギの魅力 ――気になりだしたら止まらない!|記事カテゴリ|BuNa - Bun-ichi Nature Web Magazine |文一総合出版
なるほど。樹木に寄生するもので、しかし、寄生先の全部を吸い取ってどうこう、といったものではないようです。
形は丸くて鳥の巣に似ているとも。
何でも、冬でも緑あざやかなヤドリギは、西洋では生命の象徴と考えられることがあるそうです。また、こんなロマンティックな伝説も。
ヤドリギにまつわる言い伝えの中でも特に有名なのが、「ヤドリギの下に立っている女の子にはキスをしてもいい」というお話で、ヨーロッパに古くから伝わるものです。クリスマスパーティーの夜にヤドリギの枝の下に立って、意中の男性が現れるのを待つなんてロマンティックですね。
ヤドリギとは?特徴、名前の由来、実の秘密、花言葉、クリスマスの伝説まで | LOVEGREEN(ラブグリーン)
カツミレ、ラベンダー、オシャレなハーブ類

外国の児童文学を読んでいるとしばしば出てくるのがハーブの名前。主人公たちはお庭に咲いているカツミレのお茶を飲んだり、ラベンダーを枕元に置いたり、ローズマリーをお料理に添えたりしているのです。これは強烈に憧れましたね。
当時私が知っているお茶は、緑茶か麦茶、その程度。お花のお茶なんか飲んだことも、いえ、見たことさえなかったですよ。
うっとりしながら母に話すと、母はおもむろに使い古しの急須を出して、乾燥させたドクダミの葉を入れ、お湯を注いで出してくれました。小学生にドクダミ茶。いろんな意味であまりに渋く、ちょっと切ない体験でした。
……しかし大人になった今は、母の行動は正しかったと思います。つまりハーブというものは、そういうものではないか。身近にある香りのいい植物を、お茶にして楽しみ、料理のアクセントにする。ドクダミのお茶もヨモギの団子も、それはそれで正しい日本のハーブライフなのだと思う。
また、自分で小銭を稼げるようになってからは、ハーブティもいくつかたしなんでみました。それで知ったのですが、カツミレ=カモミールのことだそうですね。
素敵な香りだったけど、実のところ、私はハーブティは得意ではないみたい。今でも緑茶と麦茶と、あとはコーヒーと紅茶もときどき、そういうものが落ち着きます。
まとめ
小さい頃、私はなぜか森が出てくるお話が好きでした。理由はわからないのですが、お話の中の森にはわくわくすることや怖いこと、不思議なもの、美しいものがあったような気がします。
人々は森に癒され、助けられ、季節を知り、食べ物をもらい、深く森と関わっていたように思い、憧れたものですが、しかし、今となってはさっぱりわからないものによくそれだけ思い入れを持てたものだと呆れます。
知らないからよかったのかな。ミモザもイラクサも香りのいいハーブティも、全部わからないから憧れたのかもしれない。そう思いもする昨今です。
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